冬日和 inaiinaiba邸の一日

2004/2/1

























木と紙だけで出来ている家。



関東大震災直後に建てられたというから、80年以上経っていることになる。

木造平屋建てのinaiinaibaさんのお宅である。

昔の大工さんが丁寧に建てた家は、

手をかけて維持すれば80年以上持つという見本のようである。









引き違いの格子戸を空けると石造りのたたき、

上がりかまちには白梅の盆栽が品よく置かれていた。

ふすまを開けて応接間に入ると、

冬の柔らかな光が部屋の真中にまで差し込んで眩しかった。









失礼ながら部屋を見回すと、部屋の中にも、

それは見事に手入れをされた盆栽が置かれてある。

樹齢何年になるのだろうか紅梅。

盆栽に関しては素人の私にも只者ではない風格を感じてしまった。

他にも柔らかな光の中にシンビジューム、かにシャボテンなどの花々が置かれており、

古風な造りと相まってとても落ち着いた雰囲気だ。



















 



















内縁側付きの部屋といのも懐かしい。

田舎の両親の実家を想いだす。

アイガーさんから不意に出た言葉、

「小津安二郎の映画に出てくるような雰囲気が漂ってますね。」

何故か私も全く同じ思いを抱いていた。

小津安二郎・・・奥が深くて中途半端に言及できない。

ただ宮川一夫のカメラワークは見るたびに心を揺さぶられる。

先に到着していていたアイガーさんと挨拶を交わし、深々としたソファーに座り込む。

「珈琲は何にします?」   「それではガテマラを」 

アイガーさんが差し入れされたお芋とりんごのタルトを戴き、

一服終わったところで、いよいよ音を聴かせて頂く。







 







inaiinaibaさんのシステム

CDプレーヤー      ワディア860X

アナログプレーヤー   ガラード301  RMG-212をAシェル用に
               オーバーハングを変更した物に
               モノとステレオのAシェル

プリアンプ        マークレビンソン26SL最終期のRCAピンタイプ

パワーアンプ      ゴ-ルドムンド28EVO 

スピーカー        ソナス・ファベール クレモナ



従前より「ソナス・ファベールのクレモナでもJAZZがちゃんと鳴るんですよ」
とinaiinaibaさんから伺っていた。

はじめにアイガーさんご持参の Annie Sellick ”Stardust On My sleeve”を聴かせて頂く。

純日本家屋の和室に置かれたイタリアのSPで聴くJAZZボーカル。

異文化の融合のファーストインプレッションは左右に広がる音場の中の「定位の良さ」だった。

音の抜けのよさも手伝って音像がくっきりと浮かび上がって来る。

続いてアナログ盤のルロイ・ビネガーのベースを聴く。

「Leroy Walk!」のタイトル通りベースが活き活きと“WALK ON”している。

弦の響きがいい。適度に引き締まっていて、躍動感がよく伝わってくる。

ご本人曰く、太鼓の音が少し弱いですが、それは畳の上にセッティングしてあるから・・・。

私にはエネルギーバランス的に聴いても、それ程弱さは感じなかった。

続けざまにアナログ、デジタル入り交えてinaiinaibaさんの好きなソフトを聴かせて頂く。


  

 

inaiinaibaさんは昔JBL4333Aその後幾度かの変遷を経てクレモナに行き着いたとおっしゃる。

選択のポイントは「弦の響き」だったそうだ。

どうも私は寸評等の誤った先入観があり、
クレモナは真空管で鳴らすのがベストみたいな思いがあった。

ところが、確かにチェロとかバイオリンの響きは素晴らしいが、
それ以外の楽器もリアリティがあり音色も豊かである。

クラシックばかりではなくJAZZもポップスもアカペラもきちんと音楽を聴かせてくれる。


 


柔らかい畳+絨毯の上という条件のもとのセッティング

木製ボード 磁気浮遊インシュレーター 御影石 黒檀キューブ
メタルプレート ピン型インシュレーター 等々 何重にも積み重ねられたベース

(inaiinaibaさんより正確な情報を頂きましたので訂正致します。)

一番下が「楓のボード」間にインフラノイズのマグナライザーMR-909
そして白御影石上に行って紫檀ではなく黒檀ブロック アコリバのスパイク受けです。

教科書通りではなく、全て自分の耳で効果を確認しながら
試行錯誤の上決定されたセッティング

逃がす 殺す 締める 緩める 

クレモナが開放的な音を聴かせてくれた秘密の一つは、このセッティングにあると思う。





使われているアンプはマークレビンソン26SL最終期のRCAピンタイプ、

パワーアンプはゴ-ルドムンド28EVOである。

音色はウォームでふくよか、そして何より音の定位が素晴らしい。

音場感も左右に開放され音が詰まった所がない。

一つには部屋の構造が功を奏しているのだと思う。

開放的で広い空間、音の反射や定在波がほとんどない和室、
遮音性はないが、inaiinaibaさんのお宅は広い敷地の一軒家で周りに遠慮することなく音量が出せる。

コンクリート造りのマンションのような定在波の為の壁対策やチューニングの必要は初めからない。


  

 

ガラード301のシャフトにはレジーナ特製 ルビーの軸受けが使われていた。

 



カートリッジはOrtofonのSPU 針圧は自分の耳で確認しながら負荷しておられる。

この当時SPUは製品にバラつきがあり、
必ずしも標準針圧がそのカートに適正かどうかは分からない。

実際に音を聴きながら調整するのがベストとのこと。

因みに3.8gと5.0gで聴き比べてみたが、3.8gではピアノの音が上ずり歪が出てしまった。

個体差はあるがinaiinaibaさんのSPUは5.0gがベスト針圧のようだ。

軽針圧・ハイコンプライアンスのカートとは異なり、レコードの溝にグッと食い込み
余すことなく音を拾い上げこってりと聴かせてくれる。

カートに続くトランスは 幻ともいわれる水色のCOTTER MK2 Lタイプ
SPUとの相乗効果で実に濃厚な密度の高い音を奏でていた。


inaiinaibaさんがおっしゃるには、電源対策が音のいい秘訣だという。

オーディオ用に分電盤からVVFケーブルを直接引き直し、
プリ・パワー系と弱電用に分離して供給している。

木造家屋なのでケーブルの引き回しは天井をはわせたので楽だったとおっしゃる。

電源ケーブルはクライオVVFやCV−Sなど選択肢はあるが、
inaiinaibaさんは多くの電源工事に立ち合う中で、自分の好みを確立されていかれたようだ。

クライオにすると繊細さは増すが、力感に欠ける傾向があるとの事。

もとより様々の条件により結果は異なるので一般論化はできない。

また聴く音楽、好みの音によっても変わるので、クライオ処理ケーブルにするか否かは
実際に音を聴いてからでないと判断は難しい。

それにしても電源ケーブルの引き直しは効果があると力説されていた。



 



Inaiinaibaさんは弦楽器(特にチェロ)を中心としながらも様々なジャンルの音楽を聴かれていらっしゃる。

クラシック、ジャズ、ロック、ニュウミュージック、ワー
ルド(レゲエ・シャンソン・ブルース・ニュウエイジその他)

その中で特に拘っているのがソフトの質。

アナログでもCDでも元のソースが悪ければ、どんな高級なシステムで聴いてもいい音は出ない。

逆にいいソースを選べばシステムがそれに応えてくれる。

実際自分の好きな曲についてはいい音にめぐり合うために何枚も購入されている。

例えばBLUE NOTEの#4000台でいえば
東芝EMI盤→キング盤→ LIBERTY/US盤→NEWYORK/US盤→NEWYORK63原盤
という具合に掘り下げていかれ、
結局同じアルバムが何枚も増えていかれたとの事。







 

なにもアナログ盤に限ったことではなく、
CDでも音源がアナログかデジタルリマスターかによっても音質が違うとおっしゃる。

実際グレン・グールドのデジタルリマスター盤と
昨年売り出されたアナログ音源盤を聴き比べさせて頂いたが、
確かに音が違う。

アナログ音源盤の方が音に温かみがあり躍動感も伝わってくる。
聴いていて楽しくなる。

これにはアイガーさんと二人で目を見合わせてしまった。

Inaiinaibaさんがソフト(ソース)に拘る訳がよく分かった。

(アイガーさんのレビューはこちらからご覧下さい)
オーディオphotoBBS 2/3 inaiinaiba邸Off会記



冬の柔らかな木漏れ日の差し込むinaiinaibaさんのお部屋での半日

優しい光に包まれ、音もまたキラキラ輝いて聴こえ

inaiinaibaワールドを楽しませて頂きました

満ち足りた冬日和


















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